2013年6月29日土曜日

クリニック探し

今度は出産までのあいだ妊婦検診をしてくれるクリニックを探さなくてはいけない。これは、PPFAでもらったパンフレットにMedi-Calを受け付けているクリニックのリストがあるのでその中から自分で選んで予約を入れることになる。

バークレー近辺には3か所しか該当がなく、そのうちの1か所はリストに紹介されているにも関わらずMedi-Calを受け付けていないというし、他の2か所は電話をしても機械応答で、ガイダンスを聞いていても予約にたどりつけないという有様。こうなるとリッチモンドかオークランドまで足を運ばないといけなくなる。クリニックの所在地を地図で検索して、自宅からバス1本で通えるところを選び、電話をするとやっと機械ではなく女性が出てくれて、すんなり予約を取れた。

加入している保険の確認ではMedi-Calと告げ、念のために「Medi-Calは受け付けていますか?」と聞いてみると「受け付けている」との返事がきて安心する。それから質問を受けた。現在こどもはいるか、いま妊娠何週目か、そして最後に、今回が初めての妊娠か、と聞かれたときに「妊娠は二回目なんだけど、最初の赤ちゃんは亡くなって…」と答えると「ああ、あなたは流産したのね」と女性は声を落とした。彼女は丁寧で時おり優しさがのぞける受け答えをしてくれたので好感を持てた。

私が通うことにしたのはDr. Yogamという女医のもとで、後に彼女がAlta Bates Summit Hospitalで帝王切開に関して定評を持つ医者だということを知る。そしてそれが理由で(緊急手術を担当することが多く)予約日時のキャンセルが多かったのだけど、私は受付の女性が優しくて機転の利く方で好きだったので通い続けた。

ちなみに出産に関していうと、バークレー周辺で出産可能な病院はAlta Bates Summit HospitalかKaiser Permanenteの2つしかない。私はKaiser Permanenteの保険には入れなかったので、Alta Batesしか選択肢がなかった(あるいは自宅出産をするという選択肢もあるけれど、低身長のために帝王切開になる可能性がある私は病院での出産しか考えていなかった)。実際のところ、バークレーで出産する人のほとんどがAlta Batesを選んでいる。

後に詳しく紹介するつもりだけど、Alta Batesは全体的にみてかなり良かった(施設はきれいだし、医師や看護師はモラルの高い人が多かった)し、利用者へのアンケートを盛んに行ってフィードバックを取り入れようという意欲が高かったところも評価できると思った。バークレーで出産といえばAlta Bates、というほど名だたる病院なのに、謙虚な姿勢が感じられた。

出産の手続きは、妊娠後期に入ってからAlta Batesのホームページにて登録することで完了する。あまり早い段階で登録する必要はないと聞いていたので、私は悠長にかまえていたけれど、予定より早く生まれそうな兆候が見られたので結局妊娠34週になって登録した。

2013年6月20日木曜日

Medi-Calの加入手続き

PPFAでもらったパンフレットに書いてあった必要書類の案内に従い、以下のものを最寄りのAlameda County Office(アラメダ郡事務所)に速達で送った。

申請書類
(Medi-Calのホームページから印刷したもの。移民用に中国語やスペイン語などいくつかの外国語で表記されたものが用意されているけれど、日本語のものはなかったので英語版に記入。)

・妊娠証明書
(PPFAで書いてもらったもののコピー)

・婚姻証明を自力で英訳したもの
(注:パンフレットには必要だとは書かれていなかったけど、念のため)

・夫と私の分のパスポートのコピーと、ビザのコピー
(申請するのは奥さんだけであっても、家族全員についての提出が必要になるので、申請の時点でお子さんがいる方はお子さんの分も添付することになる)

・銀行の現在の預金残高を表記したページを印刷したもの
(→後でわかったけれど、これは無効だった!)


すると、送った日から10日後に手紙が来て、不足書類の提出を求められた。10日以内に返信するように、さもないと申請が却下される、と書かれていた。
提出を求められた書類は以下のとおり。

・過去一か月間の預金の出し入れが確認できる銀行の利用明細
(先述したように預金残高を表記したページでは無効、とのこと)

・移民ステイタスのコピー
(私たちの場合はUCバークレーから発行されたI-20のコピー)

・大学からの財政支援の証明書
(夫の場合は大学からの援助を受けていないので、代わりに会社からの財政支援を受けていることを証明するための英文と、そうした夫の事情を英文で説明する手紙を書いて添付)

・出産予定日の日付の入った妊娠証明書
(前回発行してもらった証明書には、出産予定日が書かれていなかったので無効だと言われる。もう一度エルセリートのクリニックに行って事情を話し、再発行してもらった)

・会社からの2か月分の給料明細
(日本語原文のコピーと、自力で英語に翻訳したものを添付)


2週間後、再び同じ内容の手紙が送られてきた。不足書類を早く送って欲しいと書かれていた。これはちょっとおかしい。急いで担当のインド人女性に電話してみると、「あなた、早く書類を送ってちょうだいよ!」と言われる。「あなたの情報がなーんにもないの。だから私はなーんにもできないの!」と少々お怒り気味の彼女。なんと、書類が届いていないというのだ!よりによってこんな大事な書類が郵便事故に遭ってしまったのだろうか?私も「2週間前に送ったのに…」と粘ったけど、ここで押し問答していても仕方がない。もう一度同じ書類を用意し、何かあったときに備えて私の携帯電話の番号を書いた手紙も添えた。そして今度は事務所ではなく、担当者の私書箱に送った。

再び書類を郵送した日から8日後、Medi-Calの担当者から電話が来た。「今朝あなたに、あなたの申請を拒否したという手紙を送ったの。書類が届かなかったから」と言う。そ、そんな!目の前が真っ暗になる。やはり日本に帰らなくてはだめなのか。妊娠した状態で11時間も飛行機に乗って大丈夫だろうか。そんなことを考えていると、担当者は話を続ける。「でも数十分前にあなたからの書類が届いたの。それで、申請を認めることにしたの。拒否の手紙が届くけど、それは間違いだから気にしないで」数秒前に聞いたdenied(拒否された)という言葉が頭の中をぐるぐるとまわっていたので、聞きまちがえたのかと思い「Can't?」と聞き返すと「Can」「え?Can't?」「You Can. You were approved(あなたは承認されたの).」と教えてくれて、申請が認められたことを知った。よかった!担当者にお礼を何度も言って電話を切り、夫と喜び合う。これでカリフォルニアで病院にかかれるし、お産もできる(2日後、宣告通りMedi-Calから拒否の手紙が届いた)。

最初に書類を送ってから1ヶ月半近くが経過したころ、やっとMedi-Calから封筒が届いた。2通届いたうちの1通目を開封してみると、3枚の紙が入っている。1枚目を開くと「Denial(拒否)」と書かれている。あれ?と思って2枚目を見るとこれもDenial、3枚目になってようやく「Approval(承認)」と書かれていた。承認してくれたのはありがたいけど、いったいなぜ拒否と承認の手紙を同じ封筒に入れるんだろうか…?

もう1つの封筒を開封すると、そこには待ち望んでいたMedi-Calの会員証があった。これで晴れて妊婦検診を受けられることになったので、今度はクリニック探しだ!

2013年6月13日木曜日

妊娠証明書の取得

妊娠が判明した後、最初にしたことは妊娠証明書を病院で発行してもらうこと。これがないとMedi-Calに申請できないのだ。問題は当時、保険に未加入の私がいったいどこの病院に行けばいいのか?ということ。さて、どうしよう?と、アメリカで妊娠・出産したという方たちのブログを見てまわったところ、多くの方は保険に関しては困らなかった様子(旦那さんがアメリカで働いているので、会社の保険でスムーズに初診から出産まで臨めたという人がほとんど)。検索ワードをいろいろ変えながらネットサーフィンすること数時間、ようやく一人だけ、私たちと似た状況の方のブログを見つけ、そこでPPFA(通称フリークリニック)の存在を知ることができた!

PPFA(Planned Parenthood Federation of America)というのは、低所得者のために医療サービスを無料で提供してくれる機関で、全米に250ヶ所くらいあるらしい。エイズ検査や妊娠検査なども無料で行っており、その方はそこで妊娠証明書を発行してもらったと書いていた。(無保険の人が病院に頼んで発行してもらうと、250ドルくらいかかるらしい)

アメリカでは初診は早くても妊娠8週あたりからと聞いたので、じりじりしながら待ち続け、自宅から一番近いエルセリートにあるクリニックに電話してみた。(注:実際に行ったところ、診察はしなかったので妊娠8週まで待つ必要はなかった)妊娠検査を受けたい、妊娠していたら妊娠証明書をもらいたい、とこちらの希望を言ってみると、電話に出た女性は「それなら今日でもいいし、いつでもあなたが来たいときに来てちょうだい。 Bye!」という返事で、予約は不要だった。

エルセリートには駅の近くにショッピングプラザがあって、スーパーマーケットや食事ができるお店や雑貨屋、本屋などが集まっている。そのなかにPPFAのクリニックがある。

受付の女性に妊娠検査を受けたいと伝えるとカルテを渡され、個人情報はもちろん、保険への加入状況や妊娠したと思われる日付などを記入した。その後「ユーリーンのサンプルを採ってきて」と言われたのだけど、ユーリーン(urineとは尿のこと)が何なのかわからず3回も聞き返し、採尿用の紙コップを見せられてようやく理解できた。医療関係の英語は難しい…。「Sorry、やっとわかりました」と言うと、受付の女性は「ごめんなさいね、あなたのせいじゃないのよ」と優しいフォローをしてくれた。

その後、女医さんに呼ばれる。診察かな、と思ったら実際には診察ではなくて問診だった。まず、尿検査の結果、妊娠していることを告げられる。そして妊娠証明書もすでに書いてくれていて、あっさりと渡してくれた。よかった!私が、この後Medi-Calに申請しようと思っていることを告げると、女医さんはにっこりしてくれた。

そして、妊娠に関していくつか質問を受けた。…けれど、これがまたしても苦戦を強いられることになってしまった。アメリカでは医療従事者のマナーが厳しいのか、質問の仕方が婉曲的すぎて初めて耳にする表現ばかりだった。たとえば、「あなたは結婚していますか(Are you married?)」のような直接的な表現はせずに「Are you currently in relationship?」と聞かれ、「relationship?」と聞き返すと「パートナーとか…」と言われてやっと理解でき、「結婚してます」と返事ができた。「×××が薬局で10ドルくらいで売られているので、それを1日おきに飲むといいんだけど、あなたは摂っているかしら?」という質問には「サプリメントのことですか?」と聞き返すと、「そうよ」という返事。(×××の部分は初めて聞いた単語だったので全く聞き取れず…。)

なかには、びっくりするような質問もあった。それは、「あなたは次のどれを望みますか?parenting, adoption,abortion?」というもの。parentingの意味がわからない…のはとりあえず置いておくにしても、adoption(養子縁組)とabortion(中絶)と言わなかった?!さっきMedi-Calに申請するって言ったのだから産んで育てたいに決まってるじゃない、と思いつつ、parentingというのはparentという単語から「親になる」という意味だろうと推測して(辞書によると子育て、という意味)、「Parenting.夫と私は赤ちゃんをずっと望んできたので」と答えると、女医さんは再びにっこり。

ちなみに、この問診の後に渡されたパンフレットを読んだら、Medi-Calに申請をしたあとに中絶をしたり、出産後に里子に出すという選択肢も掲載されていた。PPFAは低所得者に医療を受ける機会を提供するほかに、10代で望まぬ妊娠をしてしまった女の子の救済も行っているとあった。

それから最後に、「この妊娠は暴力によるものではないですね?」と確認され、違うと答えると女医さんはまたにっこり。「それが一番いいことだわ」と言う。

こうして妊娠証明書を取得することができたので、次はいよいよMedi-Calへの申請だ!

2013年6月9日日曜日

妊娠に関する保険

バークレーで暮らすにあたり、妻が保険に加入する方法にはいくつかの選択肢がある。
1.日本にいるうちに、海外駐在者用あるいは長期旅行者用の保険に加入しておく
2.UCバークレーの学生保険SHIPの、配偶者用のコースに加入する
3.アメリカに着いてから、民間の保険会社に個人的に加入する

私が当初調べた限りでは、この3つの方法があった。私はそのなかで選択股3を選んだ。なぜなら、選択肢1と2では妊娠と出産に関しては保険の対象とならないから。そして私たちはいつでも、子どもを望んでいたから。

そんなわけで、UC villageに入居してすぐに保険会社に申し込もうとした。目星を付けていたのはKaiser Permanente(カイザー パーマネンテ)という大手の保険会社で、アメリカでは珍しいことに保険会社と病院が一体になっている。日本人の方のブログで、ここで出産をしたけれど医療面でも保険面でもとても良かった!と絶賛されていたので、私もぜひ入りたい!と思っていたのだった。ところが…オンラインで申込手続きをしていたところ、「SSN(Social Security Number)を入力してください ※必須項目です」という指示が出てきてしまった。私のF2ビザではSSNは取得できないので、番号なんて持っていない。入力を避けようにも、前のページにも後のページにも移動できず、なす術なし…。20ページ近くまで入力を済ませていたものの、そのまま画面をオフし(自動的に30日間は入力した内容が保存される仕組み)、放置するしかなかった。
「Kaiser SSN」でインターネット検索すると、「妻がSSNを持っていなくて、加入を拒否された」という相談が何件か見つかった。そうか、そうだったのか。事前にここまで調べておけばよかったなぁと反省。後から考えてみれば、先述のブログの方はアメリカでお仕事をされているらしくSSNも持っているようで、そもそも私とはビザの種類が違ったのだった。

それで、次の選択肢は何だろう?と考えた。ここで「選択肢4 州のMedicaid(保険制度)を利用する」が浮上する。カリフォルニア州では、民間の保険に加入できない低所得者や移民のために、独自の保険制度を設けている。私はそれに賭けるしかない、と思った。カリフォルニア州の保険は以下の2種類がある。

<AIM(エイム)>
これは、カリフォルニア州在住で妊娠している女性のみを対象とするもの。加入条件は、一定の基準を満たした収入があること、申し込み時に妊娠していること(ただし妊娠30週6日までであること)、の2つ。日本語でAIMについて調べると、「カリフォルニアに6ヶ月以上住んでいること」という条件が触れられていることが多いけれど、現在は方針が変わったのか、AIMのホームページを見てもそのような条件は記載されていない。

AIMを利用すると、妊婦健診も含めて妊娠と出産にかかる費用の1.5パーセントを自己負担し、残りは州が負担してくれるという恩恵に預かることができる。

<Medi-Cal(メディカル)>
これは、カリフォルニア州在住で妊娠している女性や、子ども、65歳以上の人、障害を持つ人を対象とするもの。加入条件は、一定の基準以下の収入であること(AIMよりも、さらに収入の少ない家庭を対象にしている。目安は毎月の収入が3,000ドル未満であること)。妊娠について加入を希望する場合は、申し込み時に妊娠していることも条件に加わる。

Medi-Calを利用すると、妊婦検診も含めて妊娠と出産にかかる費用の全額を州が負担してくれるという、ありがたいことこのうえない助けを受けることができる。

…ということで、カリフォルニア州で定義するところの低所得者にあたる我が家の場合、もし私が妊娠したらMedi-Calの手続きをすることになるらしい。ここまでのことを突き止めることができたのが2012年の8月末の話。再び妊娠できる日なんてくるのだろうか?もし妊娠できたとしてもあと1年以上は先だろう、などと思っていたら、まさかの来客に気がついたのがその1ヶ月半後であった。

2013年6月2日日曜日

待ち人、来たる

結婚して7年。お母さんになりたいと願い続けながら日々を過ごしてきた。そしてこの度、幸運な巡り合わせのもとにようやく成就することができた。先日、ここバークレーにて男の子を出産。母子ともに元気に誕生の日を迎えることができ、いまは喜びでいっぱい。

望んでも授からないことへの苦しみと、失ったことへの悲しみ。苦労を知らない人生よりは苦労を知った人生の方が幸せなはずだと信じて、自分の心を支えてきた。

これから私は教育係として、息子にはできるだけ多くの世界に触れさせてあげたい。そうして息子には、自分で考え、自分で行動する人間になってもらいたい。そしてそのときに自分以外の、世の中のことも視野に入れておいてくれたら、と願っている(すでに多くを望みすぎている気もするけど)。私としては、物理的に一緒にいることが必ずしも幸せだとは思っていないので、たとえばもし息子が15歳くらいで思い立って一人立ちするとか、通信手段もないような辺境に旅立って地域の開発に賭けたいという使命感に燃えるようなら全くかまわないし、むしろそうして自分の使命を果たして欲しいと思っている。

また、息子が持って生まれた個性というものを尊重し、理解者でありたいと自分に対して願っている。たとえば彼が男性を愛するようになったり、障害を持っていたり、他にもいろいろと「人と違う」「普通と違う」と言われる何かを抱えていたとしても、息子には罪悪感や恥、劣等感などの後ろ向きな感情を持たないで欲しいと思っている。そんなことには何の問題もない、彼が選んだ人生なのだから、自分を貫いて生きていって欲しい。でも、周囲の無理解や偏見、差別で苦しむときには私は常に彼と同じ側に立ちたいと思う。自分の力で、ときには力を合わせて、人生を切り開いていこう。

やっと来てくれた天からの借り物を、これから慈しんで育てていきたい。