2013年1月23日水曜日

日中友好ショッピング?


夫が通っているアダルト・スクールには、実に多国籍のクラスメイトたちがいる。ひと月ほど前に新たに加わってきたドンメイ(漢字では冬梅)さんという人は、「日本人が大嫌い!」と公言する中国人女性。「日本人は中国から漢字を盗んで、今度は尖閣を盗もうとしている!今年中にきっと戦争になる!」と愛国心に燃えている。

なかなか個性的な彼女は授業中にしばしば脈絡のない質問をして授業の流れを止めてしまうところがあって、どうもクラスメイトから敬遠されてしまいがち。先生と夫が根気よく付き合ってあげて、彼女の「あれは何?これは何?」の波状攻撃に答えてあげていたらしい。とてもガッツのある女性で、わからないことは躊躇なく質問し、決してうやむやにしないという、周囲は少々手を焼いてしまうけれど学ぶ意欲にあふれる人なのだ。

そんなこんなで、夫の陰の努力が功を奏したのか対日感情が和らいできて(?)、日系スーパーで買い物をしたいから手伝って欲しいと頼まれ、夫と一緒に(夫では料理や食材の説明に不安があると言うので)ドンメイさんに会うこととなった。

自宅から一番近いTokyo Fish Marketで待ち合わせ。彼女によると、中国人仲間のあいだで巻き寿司を作ることになった(「大嫌い!」の割にはずいぶんと短期間で親日派になったのでは…?)という。その材料に何を選んだらよいのかわからないので教えて欲しい、ということだった。

会った時点ですでに海苔を3パックも買い物かごに入れている彼女から、噂に聞いていたとおり質問攻めにされる。スシを作るには酢が必要なはずだが、いったいどの酢を買えばよいのか?(すし酢というものが売っていたので薦めてみた)、米を炊く前に酢を入れるのか?(ご飯が炊けたあとに酢をかけて、かきまぜるの)、巻き寿司を作った後で、食べるときにもう一度酢をかけるのか?(かけなくてよい!)、魚肉ソーセージを中に入れると決めているんだけどどこで売っているのか?(夫も私も魚肉ソーセージと聞いてびっくりしたが、きっと魚は高いから代用するんだろうなと思って突っ込まずにおいた)、わさびとは何か、スシに使うんだろう?マスタードのことか?(違う植物からできていて色も味も違う、とWasabiチューブを見せるとドンメイさんは素早く買い物かごに入れてしまった。巻き寿司にわさび…止めればよかったかしら)。

ふと目に入ったカニカマを見て、大興奮するドンメイさん。「Crab meat(蟹肉)と書いてある!これはスシにぴったりではないか?蟹はスシに使うんだろう?」と興味深々。えーと、Crab Meatの前にImmitation(偽物)と表示されているのだが、そこは問題ないのだろうか?と思いつつ、「きゅうりとよく組み合わせて使われるよ」と言ってみる。(しかしきゅうりは買わなかったドンメイさん)カニカマに心を奪われた彼女は、これは茹でるのか?と聞いてくるので、「調理の必要はなくて、好きな大きさに切って、そのまま食べられるの」と説明すると、感極まった様子で「本当に料理しなくていいの?!すごい、すごい!」と言ったあと中国語で何やら(たぶん)感嘆の言葉をもらしていた。

お店の中をぐるぐると回っていると、再び興奮するドンメイさん。たくあんを指して、「これだ!これをスシに入れるんだろう?」と喜んでいる。夫と私で「えっ…、もしかしてこの大根まるごと一本漬けたものを買う気なんじゃ…この量ではたくあん巻きになってしまいそうなんだが…」とひそひそ話。彼女に聞いてみると、案の定たくあんを食べたことがないと言う。口に合わなかったときのリスクが高すぎるので、さすがにたくあんは薦めずにおいた。

ドンメイさんとはそこで別れ、彼女は意気揚々と会計を済ませて友人宅へ向かった。果たして、巻き寿司パーティーはうまくいったかしら?日本人に教わって作ったのにおいしくなかった!日本人は信用ならん!なんて、また反日に戻っていたりして…。

2013年1月18日金曜日

事件後の対応


昨年11月末に不幸に遭遇して以来、たくさんの方からご心配いただいているので、感謝の気持ちと無事を伝えるために、その後のことを記してみようと思う。直接メッセージをくださった方も、お会いできずとも胸を痛めてくださった方も、ありがとうございました。


UC villageの対応

事件のことを知らせたその日のうちに、住民あてに事件について伝える一斉メールが送信された。アジア人女性を狙った事件とみて、英語だけでなく中国語と韓国語、日本語でもそれぞれ翻訳されたものが送られてきた。日本語のメールを見たら、いかにも自動翻訳ソフトを使って機械的に訳したという感じの変てこな文章だったけど、言葉の壁がある住民にも伝えたいというoffice側の意図がよく伝わってきて、ありがたいと思った。


警察の対応

事件から2週間のあいだに3回も警官が自宅を訪ねてきて、容疑者かもしれない男性の写真照合を行った。最初の1回は制服を着た警官で、あとの2回は私服警官だった。私服警官のときは玄関で警官自ら銀色のバッジを見せて身分証明してくれた。

写真照合の前には毎回注意喚起を受ける。それは何かというと、メガネやヒゲの有無など簡単に変化をつけられる項目だけを理由に犯人かどうかを判断しないように、というもの。A4サイズの用紙に6人の写真を載せるというのがどうやら決まりらしく、毎回6人の顔写真が配置されていた。

残念ながら3回とも犯人とおぼしき男の写真はなかったけれど、警官の話では警察でも9月の事件と11月の事件は同一犯によるアジア人女性を狙ったケースとしてみているということと、私服警官をUC villageに派遣して巡回させているということだった。実際、UC villageの敷地を歩いていると5分のあいだに3台もパトカーを見かけたこともあるし、ジョギングしている夫によると夜間にも警察官が警戒にあたっているということだった。軽犯罪だからといって、ないがしろにせずにいてくれることが嬉しい。

ミーガン法(ミーガンちゃんという女の子を襲った悲劇をきっかけに制定された、性犯罪の前科を持つ人物の個人情報を公開することを求めた法律)に基づいて作られたFamily Watchdogというサイトでは自分が住んでいるエリアを検索すると、近所に住む前科者について顔写真とフルネームに住所まで情報が公開されている。試みにアルバニー周辺の情報を探してみたけど、犯人の情報は得られなかった。警察の写真照合にも該当がなかったので、きっとあの男はまだ逮捕歴がないのだろう。

また、被害者への支援制度として、財政的なサポートを受けられることも教えてもらえた。事件に巻き込まれた影響で、病院に通ったり精神的なリハビリのために習い事を始めたりした場合、かかった費用が警察から返還されるという。結果的には私はこの制度を利用せずに元気になれたけれど、こういう制度があるということにびっくりしてしまった。


ソーシャルワーカー

当初の話では2回カウンセリングをしてくれるということだったけど、実はすでに4回も会っている。さらに今後もひと月に1回のペースでカウンセリングを続けてくれるという。親切な人で、ご本人も外国人として日本で暮らした経験があるためか、異国の地で犯罪に遭った私の立場をとても思いやってくれる。私が英語に詰まったときは日本語でも話せることもありがたい。


心情の変化

事件直後は怯えて暮らしていて、玄関のチャイムが鳴るたびに、スツールに乗って(背が低いので台がないと届かない…)ドアの覗き窓から様子を伺ってからチェーンをかけて応対する、という日々が続いた。宅配便のおにいさんに「僕を怖がらなくていいよ」と言わせてしまったこともあった(>_<)

今はもうすっかり元気になって、怯えるどころかむしろ犯人を見かけたら写真を撮って警察に提出してやろう!と構えているぐらいで、外出時にはデジカメと携帯電話を持って行くことにしている。犯人はこれまでに2回も目的を達成できているので、調子に乗っていつか本当に小さい女の子に危害を加えるとも限らない。何かしらの形で逮捕につながる証拠をつかむことができれば、と切に願っている。

2013年1月11日金曜日

お気に入りのアジアン料理店


UC villageから徒歩もしくはバスで行かれる範囲内には、かなりの数のレストランがある。カリフォルニアではアジアからの移民が多いせいか、アジアの各国料理が気軽に食べられるので外食するのもまた楽しい。今回は、うちで気に入っているお店を紹介。


Nong Thon Authentic Vietnam Restaurant (ベトナム料理)

UC villageがあるAlbany(アルバニー)の隣町 El Cerrito(エルセリート)にある。夫婦でベトナム料理を熱愛しており、このお店にはもう何度通ったかわからない。外観からは店内の様子がわかりづらくておまけに「ランチやってます」などといった看板も出していないので、営業しているのかどうかわかりづらいのだけど、中に入ってみるとランチ時でもディナー時でもかなりにぎわっている。

フォーはもちろん、チャージョー(揚げ春巻き)やゴイクン(生春巻き)、シュリンプケーキにパインセオ(オムレツ)など、どれもおいしくて良心的な価格なのでおすすめ。ランチでもディナーでもほとんど料金が変わらないので(お店によっては同じメニューでもランチとディナーとで料金設定が変わることもある)、私たちは夕食時に訪れることも多い。

従業員が店内の定位置で自分の子どもを遊ばせながら仕事をしていて、皆で仕事の隙をみては入れ替わりで遊んであげたりしているのも微笑ましい。


小香港 (中華料理)

同じくEl Cerritoにあるお店。日本人の奥様のあいだで評判になっていたので訪ねてみたら、本当に名店だった!おいしくて安いのはもちろんだけど、食事の量の多さにもびっくり。食べきれないほどの量が出されると聞いていたので、用意周到にタッパーを3つも持参した(お店の人はもちろん持ち帰り用の紙箱に包んでくれる)。

ディナーで1人10ドルのコースを頼んだら、ラーメン丼級の器になみなみと入ったスーラータンに餃子、生春巻きに酢豚、ナッツの炒めもの、チャーハンという大盤振る舞い。どれもおいしくて箸がすすむのに、いかんせん量が多すぎてとても食べきれない。どの料理も3人前くらいはある。
タッパー3つがたちまち満杯になる。食器を下げにきた店員が私たちのタッパーを見て何やら喜んでいる。あなたたちはボックスを持ってきたのか、それはとてもいいことだ、それはどこのお店で買ったのか、メーカーは何か、と質問と高評価を受ける。それまでは愛想のないおばちゃんだなと思っていたら、ここに来て一変。汁物だからさすがに持って帰れないだろうと諦めていたスーラータンを、「スープ用の容器に入れてあげるわ」と包んでくれた。

中華料理は当たりはずれの差が本当に大きくて、バークレーに来てからも何度もお店選びで失敗してきた(某中華料理店では冷凍チャーハンを出されたことがある!それ以来、店内から厨房が見えるかどうかもお店を選ぶ基準に決めた)のだけど、ようやく「おいしい!」と言えるお店に出会えてよかった。


Kiku Sushi(日本料理)

昨年の9月に、Gilman通りにオープンしたお店。目印は鯉のぼりの飾りつけ。バークレーには日本料理屋さんはいくつもあるけど、感想としてはどのお店もまあそれなりのお味かな、というものだった(Ichiban、Sushi Sumo、Sushi Genki、Toyo、Anzu…どこも中国人が経営しているのは何でだろう?)。

そんなわけで、このお店にもそれほど期待せずに先月初めて寄ってみたのだけど、寿司ネタの新鮮さ&おいしさに関してはこれまで行ったなかで一番よかった!(Solano通りにあるSugataもなかなかおいしいと思うけど、お寿司についてはこちらに軍配があがると思う)私たちが席に着いたとき、隣の席で食事をしていた白人男性が退店するところで、店員に「とてもおいしかった」という賛辞を残していたのでもしや…と胸を高鳴らせていただけに、当たりを引いた喜びもひとしお。少々お値段は張るけど、おいしいものをおいしく食べる幸せが得られるので、悪くないお金の使い方だと思う。

Gilman通りのあたりは白人の富裕層が多く住んでいるエリア(美しく手入れされたお庭と高級外車が並ぶ)だからか、お客さんは私たち以外は白人だった。経営しているのはやはり中国人の一家だけど、スシについてアメリカ人に誤解してほしくない(スシを食べたけど、そんなにおいしくなかったよ、なんて言われたくない!)と思っているだけに、こういう良店には末永くがんばって欲しいなあと応援したくなる。その後お店の前を通りかかるたびに、店内はお客さんでにぎわっている様子なので、そんな心配も必要なさそうだけど。

2013年1月2日水曜日

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
日本や世界が少しでもよい方向へ進むよう、少しでもたくさんの方がより幸せになれるよう、一個人としてひそやかに祈っています。そのために、まずは自分自身の足元を固めながら、世の中のことにも自発的に携わっていきたいと思っています。

昨年は、これまでの自分には絶対に無理だと思っていたことから壁が取り払われていった、そんな一年でした。このブログの開設も内向的でアナログな自分にしてはかなり思い切った決断でしたが、誰かの何かの役に立てれば、という気持ちで細々と続けていこうと思います。はじめましての方も、度々のぞいてくださる方も、どうぞ今後ともよろしくお願いします。

今までストイック過ぎる生き方をしては心身を追い詰めてしまうところがあったけれど、苦しい勉強はもう卒業。これからは楽しく笑って日々を暮らし、幸せを満喫していきたい。手に届く幸福を子どものように素直にありがたく享受したい。そんな風にして蓄えた力を別の形でどこかの誰かに循環していけたらいいな。そう思っています。

どこまで役に立つのかよくわからないけど、今年もバークレーから情報を発信していきます。