2012年9月18日火曜日

ピアノ・レッスン


UC villageに入居したときに渡された入居のしおり。ここはアメリカだし契約に関してはしっかり把握しておかないと、と思ってせっせと読んだ。そして見つけてしまったのが、piano roomの存在!

UC villageは約1000世帯が住まう巨大な家族寮。子どもや奥さんをはじめ、住民のためのレクリエーションやクラブ活動が盛んに行われている。体育館やジム、グラウンドまであるという豊かな福利厚生。そして体育館の中にはピアノルームがあり、40ドルを払って登録すれば日に最大30分、週に最大で5日利用できる、と書いてあった。

「わ~、やりたい!」忘れかけていた音楽への情熱が一瞬でよみがえる。でも40ドル(現在は1ドル=約80円なので、約3200円)だよ?いや、だってあれよ?日本に帰ったらまた賃貸生活だし、ピアノに触れられる機会なんて一生で最後かもしれないじゃない!と自分と対話。あっけなく申し込むことに決定。入居後しばらくは家具の調達などに追われていたけど、そろそろ落ち着いたのですみやかに登録♪

Village Officeに出向いて、「ピアノルームを使いたいので申込用紙が欲しい」と伝えると、空いている曜日と時間帯を教えてくれた。出足が遅かったのですでにけっこう埋まってしまっていた。週に4日しか枠がとれなかったけど自分の生活ペースを考えてまあいいか、と妥協。
そして支払い。なんと、40ドルというのは1semester(セメスター。学期のこと)あたり、ということだった!(UCバークレーは2学期制なので、つまり半年ちかく有効ということに)しおりには記載がなかったので、てっきり毎月40ドルかかるのかと思っていた。これなら安い!

10年以上のブランクを経て、ピアノに触れる。鍵盤のタッチってこんなに重かったんだ、としんみりする。楽譜の読み方も忘れてしまったので勉強し直す。両手の指を違うように動かす感覚が、じわじわと戻ってくる。リハビリとして最初に選んだのは、ベートーヴェンのMinuet in G(メヌエット ト長調)。それからバッハの同じくMinuet in G。

私は人生においてピアノを持ったことも習ったことも一度としてなかった。だけどどうしてもピアノが欲しくて、両親にせがんでおもちゃのキーボードを買ってもらった。うちにはピアノを買えるだけのお金がなかったから。自分で楽譜の読み方を覚え、両手の指を動かす練習をした。
当時は吹奏楽部に在籍していたので、顧問である音楽の先生から理解を得て、部活後の音楽室でピアノの練習をさせてもらった。そうしてベートーヴェンのソナタ「月光」と「悲愴」をごく一部だけ弾けるようになった。だけど受験やら何やらを言い訳にして、いつのまにかキーボードにもピアノにも手を触れることはなくなり音楽とは無縁の生活を送るようになってしまった。

私の実家の隣家にはピアノが上手な女の子がいて、いつも彼女のピアノを耳にしていた。彼女は中学2年生にしてベートーヴェンの月光と悲愴を全楽章弾きこなしていたので、今から思えば相当な腕の持ち主だった。いつからか私はその2曲をピアノで弾けるようになりたいと夢見るようになったのだ。

個人的にはラヴェルの「水の戯れ」や「亡き王女のためのパヴァーヌ」、サティの「ジムノペディ」や「おまえがほしい」がとても好き。マイケル・ナイマンの「楽しみを希う心」も(映画は見たことがないけど)また、旋律の美しさに心が洗われるような気がする。

これからはしっかり権利を行使してピアノの練習に励もう♪ピアノルームの外では激しいビートでダンスのレッスンが繰り広げられていたり、バスケットボールの練習でにぎわっていたりするけど、これは自分のための時間。美しいものに触れて暮らしたい。